木造聖徳太子孝養像
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更新日:2024年2月19日
西徳寺
平成14年登載
10世紀頃に、太子の伝記である『聖徳太子伝暦』が成立し、普及するようになると、『伝暦』に準拠した様々な聖徳太子像が作られるようになりました。孝養像は太子が16歳のとき父である用明天皇の病気平癒を祈ったという説話をもとにその姿を表しています。
西徳寺の聖徳太子孝養像は像高71.3センチメートル。髪は中央で分け、角髪に結っています。衣装は袍を着し、袈裟を右肩に着け(褊袒右肩)、左肩前で吊っています。横被は肘下へ回し、右手首下でその端を左手で押さえています。右手は胸前で柄香炉を持ちます。裳を着け、沓を履いて両足をそろえて立つ、聖徳太子の孝養像として形式に則った像です。
西徳寺は京都仏光寺末の浄土真宗寺院です。寛永5年(1628)に本郷金助町(現・文京区本郷3丁目)に起立し、天和3年(1683)に現在地に移転しました。孝養像は本堂内、左側の須弥壇に安置されています。当寺に現存する資料には、この像の伝来を示すものはありませんが、『御府内寺社備考』の西徳寺項に
太子堂 三間四方 同拝堂 四間三間 聖徳太子像 運慶作 丈二尺三寸五分
右相州藤沢之住加藤何某所持ニ候処享保五年 八月廿一日慶想ニ依当寺奉納有之候
とあり、この聖徳太子像の丈は本像の像高にほぼ符合します。両者が同一の像であるならば、造立後のある時期、相模国藤沢の住人加藤某の持仏となり、享保5年(1720)8月に西徳寺に奉納されたものです。しかし、加藤氏と当寺との関係や慶想の内容などは不明です。
本像は、面相や衣文の作風から17世紀末の制作と考えられ、その造形は堅実な彫技によって表現されています。区内に現存する聖徳太子像の中では、古い制作年代に属し、優れた作品のひとつとして、貴重です。
木造聖徳太子孝養像
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