木造観音菩薩立像(寛永寺)
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更新日:2024年2月19日
寛永寺清水観音堂
平成19年登載
本像はヒノキ材の寄木造で、玉眼を嵌め入れます。肉身部は金泥塗り、衣部は漆箔です。右足柄の外側に「大し□□/勘十良」の墨書がみられますが、この墨書は近世修理時のものと考えられます。作風は文治5年(1189)運慶作、浄楽寺阿弥陀三尊像脇侍(神奈川県横須賀市)や清水寺観音・勢至菩薩立像(京都府京都市)などと良く似ていることから、鎌倉時代初期の運慶派の制作と考えられます。しかし、本像の制作年代はそれらよりやや下がり、13世紀前半ころと推定されます。
本像の伝来は明らかでありませんが、現在は清水堂須弥壇、向かって左方の厨子内に安置されています。
清水観音堂の本尊である木造千手観音菩薩坐像(秘仏)は、13世紀の制作で、東叡山諸堂建立記によると京都清水寺の僧義定房某(東叡山之記は義足房某とする)が持参した像を主馬判官盛久が天海に献じたものと伝えます。清水観音堂には、寛文3年(1663)銘の義乗院春海の位牌が安置されていることから、義定房某との関連が推定されます。
本像は、区内に現存する木造観音菩薩立像の中では、比較的古いものに属し、ことに運慶派の正統的な作風を伝えるものとして貴重です。
木造観音菩薩立像
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