木造僧形坐像
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更新日:2024年2月20日
浅草寺
令和3年登載
本木造僧形坐像は、剃髪し僧衣を着けた比丘形像です。像高は36.5センチメートル。樹種は広葉樹材で、一木造りです。頭頂から両肘、両膝頭を含めて一材から彫出したと思われます。現状では、表面が褐色を呈していますが、肉身部に肌色(白地系)が残っており、もとは彩色像であったと考えられます。
造立当初の安置先は不詳ですが、長野幸彦氏(1932~2017、元朝日信用金庫会長)の所蔵となり、昭和53年(1978)12月22日に「浅草寺1350年祭」に合わせて当寺へ奉納されました。
本像は、像主を特定する手掛かりを見出すことはできませんが、瞳に練り物らしき異物を嵌め込んでおり、わが国の木彫像とはいささか趣が異なっています。その造形を踏まえると、造立は中国において、五代末~北宋にかかる頃(10~11世紀)と考えるのが適切とみられます。
また、本像と規模・作風・構造技法が極めて近しい造形の僧形像が、善願寺(京都市)に二軀、千手寺(滋賀県)、ミネアポリス美術館(米国)にそれぞれ一軀伝わっており、それらの像底の腐食痕にはいずれも類似性が認められます。かつてこれらは一群を形成して伝来したようです。
本像は、その造形等から考えて、10~11世紀の中国で制作されたと考えられます。当代に遡る木彫の僧形像の遺例は、日本はもとより、中国においても極めて少なく、その存在は非常に貴重です。なお、令和2年(2020)7月31日付で東京国立博物館へ寄託されています。
木造僧形坐像
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