木造地蔵菩薩立像
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更新日:2024年2月19日
天龍院
平成元年登載
地蔵菩薩は、釈迦がなくなってから、ずっとのちの世に弥勒菩薩があらわれるまでの間、つまり今の世で人々を救済するといわれている菩薩です。日本では、塞の神や道祖神の信仰と結びついて、道ばたの地蔵や塞の川原の地蔵などという形で親しまれています。髪をきれいに剃った僧形で、右手に錫杖、左手に宝珠を持った姿が、よく知られています。
天龍院の地蔵菩薩像は、正面を向いてまっすぐに立った立像です。像高は33.6センチメートルという小さな姿ですが、とても細かい技法がみられます。像の衣の部分にほどこされている緻密な文様は、金泥(金の粉をにかわに溶かしたもの)とともに、金箔を細く切ってはり、模様をつくる切金という技法を駆使して描かれたとても精巧なもので、製作者の技術の高さをうかがわせます。からだの部分には漆箔がはられ、眼は玉眼がはめこまれています。
像の底部には、次のように銘文があり、この像のつくられた年代がわかります。
仏師大輔/絵師大輔/文明11己亥/二月三日/施主浄胤
文明11年は西暦1479年、室町時代後期にあたります。制作年代の明らかな像としても貴重なものです。
この像が天龍院の所蔵になった経緯については、ほとんどわかりません。天龍院は、臨済宗妙心寺派の寺院で、寛永7年(1630)神田に創立、元禄14年(1701)に現在地に移転しました。
木像地蔵菩薩立像
像の底部
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