木造閻魔王坐像
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更新日:2024年2月19日
立善寺
平成8年登載
日蓮宗立善寺の閻魔王坐像は、像高49.4センチメートル。ヒノキ材を用い、寄木造りという技法で造像されています。
像容は、ほぼ通形の閻魔王像で、頭に冠、体部には道服を着け、左手に巻子、右手に笏を持つ姿です。顔は、眉毛を上げ、目は下方を睨み、口を大きく開いたさまで、亡者を恫喝する忿怒の相を表現しています。
像の底部に記された銘文によって、さまざまなことが判ります。作者は仏師田中形部済時で、天和3年(1683)閏5月7日の制作です。法明院という人物が、同年2月26日に亡くなった孫・教生院善心の供養を思い立ち、教生院の両親・浅野氏夫妻が施主となり、造立したものです。
本像については、文政12年(1829)編集の御府内備考 続編立善寺の項にも記されており、当時、すでに立善寺に納められていたことは確実です。しかし、閻魔王像を安置する日蓮宗寺院は少なく、立善寺所蔵の記録類には銘文中の法名がまったく見えませんので、本像は文政12年までに他の寺院から移されたものであると推定できます。
江戸時代の仏像彫刻は、一部をのぞき定型化した像が多くなりますが、本像は忿怒の形相、道服の表現などに高い彫技を看取することができます。その上、銘文により作者・製作年代・制作目的が明らかであるため、江戸の彫刻美術や閻魔信仰の様相を考える上で、貴重な遺品のひとつです。
木造閻魔王坐像
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