池之端七軒町遺跡368号墓出土将棋駒他副葬品
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更新日:2024年2月19日
台東区教育委員会
令和3年指定
本資料は平成6から7年に池之端七軒町遺跡調査会により発掘調査されたもので、長方形木棺に副葬されていたものです。調査地は江戸時代から近代にかけて曹洞宗慶安寺が所在し、本遺構はその墓所地のものです。
将棋駒及び駒入れ容器一揃い、その他箸1組、キセル1組、小型櫛1点、銭貨7点です。将棋駒・駒入れ容器・箸・櫛は白木の木製で、キセル・銭貨は金属製です。将棋駒等はほぼ形が残っており、年代は17世紀と推定されます。
将棋駒は現在と同じ内容・枚数で形状も五角形であり、表裏面に現在の駒と同じ名称を表示しています。駒の表記は表面を彫らずに、黒漆で描いた「書き駒」と呼ばれるもので、最も古い表記の仕方であり、優品と思われます。使い込んでいる様子があり、副葬している点から被葬者の愛用品とも推測されます。江戸時代には武士・僧侶以外の「将棋師」の存在が散見されるようになり、368号墓の被葬者はそのような「将棋師」とも想像されます。
なお本将棋駒はNHKテレビ番組「美の壺」で紹介されており、その後もオンデマンドで世界中に発信されています。
銭貨は7枚とも銅銭で、「寛永通宝」(一文銭)であり、「寛」・「寶」の足が「ハ」ではなく「ス」となる、いわゆる「古寛永銭」です。
将棋駒は保存状態が良好で一揃いあることから、台東区内に限らず近世遺跡の出土品としては稀有な例であり貴重です。さらに所有者の埋葬年代が江戸時代前半と想定され、将棋が一般に普及し始める頃に、町人階級が将棋を指す早い例として注目され、本資料全体は駒の使用者像を推測させる資料として重要です。
368号出土将棋駒
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