入谷遺跡出土入谷土器生産関係資料 附、施釉土器 一括
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更新日:2024年2月20日
台東区教育委員会
平成27年指定
本資料は、平成11・12年に、上野台東方の低地で実施した発掘調査で出土した、台東区入谷遺跡下谷二丁目1番出土近世資料のうち、江戸時代の「入谷土器」生産関係の資料です。平成23年度には、台東区有形文化財(考古資料)に登載されました。
「入谷土器」は、入谷周辺で江戸時代から近代にかけて生産されていた産物で、『新編武蔵風土記稿』『東京府志料』に、植木鉢などが記されています。
入谷遺跡下谷二丁目2番地点からは、透明釉の片手鍋(行平鍋)が出土し、その取っ手の上面には陽刻で唐草文、下面に「坂四樂喜」銘が見られます。
さらに、下谷二丁目1番地点からは、無釉の土鍋・土瓶・灯明具等の土器や、板状・棒状・鉢状・四角錐状の特殊な土製品が出土しています。また、土鍋の内面には「樂」銘が刻印されています。
なお、両地点ともに、多様な施釉土器が多数出土しています。器種は、碗、皿、鉢、土鍋(片手鍋・両手鍋等)、土瓶、羽釜、火入れ、灯火具(受皿・無脚、脚付・秉燭・カンテラ等)、植木鉢、蓋、玩具類(鮑型・徳利型・人形等)があります。釉調は、透明釉、鉄釉、緑釉、彩色などが見られます。注目されるのは、下谷二丁目1番地点出土の透明釉徳利型玩具類です。これらの体部には、彫り字で「∧久」「いりや」名が見られます。また、下谷二丁目2番地点出土では、色絵鮑型玩具類も確認できます。
本資料一括は、「入谷土器」に相当すると考えられ、更に多種多様な未成品や、類例の無い土製品も出土しており、「入谷土器」の生産に関係する資料として貴重です。また、台東区内の忘れられていた産業の歴史を考える上においても、重要です。
四角錐状土製品
入谷遺跡土器・土製品
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