上野忍岡遺跡群上野桜木一丁目10番地点出土資料 一括
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更新日:2024年2月20日
台東区教育委員会
平成25年登載
本資料一括は、旧石器~中世期頃は集落関係、江戸初期は日蓮宗寺院関係と思われる資料、それ以降は寛永寺子院関係の資料であり、平成12年4月~7月に台東区文化財調査会が実施した発掘調査の出土品です。
出土遺物は、旧石器時代ではナイフ型石器等の製品及び礫群礫、縄文土器、古代では類例の少ない貝塚関係を主とする土師器坏・須恵器坏・蓋・土錘など、中世では瀬戸美濃産天目茶碗・皿、常滑産甕、土師質皿、板碑などが見られます。更に近世期の資料が多量に出土しており、瀬戸美濃産・肥前産・京信楽産を主とし、中国系磁器、賎機焼(静岡)系陶器、壺屋焼(沖縄)系陶器、江戸在地産を主とする土器・瓦・土製品や金属製品・石製品のほか、漆器・木製品なども見られます。特徴的な遺物としては、大名鍋島家が御用達として特別に製作したものとも推測される土器皿、底面に人面が書かれた擂鉢、明和2年(1765)の年号と人名が墨書された土瓶蓋、金箔付き葵文が見られる石製品など多様にあり、埋葬関係資料も出土しています。近代では、調査地に該当する「上野櫻木町」の地名と、父子の氏名が刻まれた銅製迷子札などが見られます。
旧石器時代資料は遺存状態が極めて良好です。その他にも、近世を主として保存状態の良好な資料が多くあります。
本資料一括は旧石器時代から近代にわたり、内容的にも多様です。特に旧石器時代資料は台東区内では希少であり、遺存状態も良好で貴重です。更に、近世資料は大半が寛永寺関係であり、特注品とも思われる皿など質・量とも豊富で重要です。その他においても、古代の貝塚関係資料としては、類例が少なく注目されるものであり、また調査地との関係も想定される近代の迷子札は歴史的にも興味深い資料です。
出土遺物(右下3点は旧石器時代。他は近世。最上段中央は銅製鏝(こて))
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