柿経
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更新日:2024年3月1日
台東区教育委員会
平成23年指定
本資料は平成12年12月から翌年1月に池之端2丁目1番の発掘調査で出土した近世埋葬関係資料の一つです。本資料を含めた出土品は「台東区池之端七軒町南遺跡出土埋葬関係資料一括」(台東区有形文化財[考古資料])として平成22年に登載されています。
本調査地は江戸時代はほぼ寺院地で、切絵図等から心行寺(浄土宗)、または永昌院(臨済宗)が所在した場所と推定されます。
本柿経は、埋葬施設の脇から束になり折れ曲がった状態で出土しました。出土時には一部が破損していましたが、全体は良好に残されていました。しかし、かなり脆いため出土後に保存処理を実施しました。
木製で、長さ約50センチメートル、幅3.5センチメートル、屋根葺きの「柿葺き」で使用される「柿板」(厚さ0.5から1.5センチメートルの薄い割り板)に供養のために経文が書かれたもので、103点あります。
表には経文と「広隆」の妻の戒名(穏譽妙安)、年月日(元禄3年[1690]4月5日)が書かれ、裏の右下には順番を示す漢数字が見られます。1番目に「一周忌」とあり、供養対象者が元禄2年4月頃に死去したことがわかります。経文は「妙法蓮華経提婆達多品第十二」を分割して書き上げたものです。ほぼ楷書で書かれていますが、数人で書かれた可能性もあります。また本経文は女性の成仏を語る経文で、供養対象者が妻女であることが、この経文を選んだ理由と推測されます。材質は針葉樹で、ヒノキ等の明るく良質な樹種と思われます。
「柿経」は中世の遺跡では見られますが、近世の遺跡での出土は希少です。
柿経
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