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和裁

ページID:990915992

更新日:2024年5月27日

黒川儀兵衛
平成2年指定(同5年保持者死亡により解除)

 日本の衣服は、歴史の変遷とともにかたちを変えてきましたが、その中で和服としてもっとも代表的なものは、一般に着物とよばれる小袖類です。小袖はもともと下着でしたが、近世初めごろから上着として着られるようになり、現在の着物になっていきました。

 小袖の上衣化とともに、これを作る裁縫の技術もそのころから発達・普及し、裁縫の本も出版されるようになりました。裁縫は、家庭においては女性の家事仕事として、母から娘に伝えられ、また都市部では仕立屋というプロの職人があらわれました。仕立て屋には、小袖類を作る仕立物師のほか、羽織師、袴師などの専門業者もありました。明治から大正ころの浅草には、仕立屋が300軒ほどあったそうです。

 黒川儀兵衛さんは、明治34年生まれ。15才のとき埼玉県から上京し、駒形の仕立職人に弟子入り、数年間の修行ののち、25才で独立して雷門に自分の店をもちました。黒川さんは、通常の小袖類のほか、引き着という裾を長くひく衣裳や袴・羽織・かみしも・能装束など、幅の広い和裁の技術をもっていました。現在次男の利彦さんが着物の製作に、また和裁士をめざす若い人たちの指導にあたっています。


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