ガラスペン作り
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更新日:2024年5月28日
佐瀬 勇
平成12年指定(令和元年保持者死亡により解除)
ガラスペンは、明治時代、ガラス工業の技術の向上につれわが国で初めて開発されました。ただ、ガラス工業の主流が板ガラスなどの機械化・大型化に向かっていったのに対し、ガラスペンは、職人が1本1本丁寧に手作業で仕上げていく、江戸時代以来の伝統をしっかりと受け継いでいます。
江戸時代後期、浮世絵師が好んで櫛、簪、ビードロなどガラス製品を描くようになり、コップ、瓶、試験管などガラス専門を扱う商店もあり庶民にとってガラスは身近なものになっていました。
ガラスペンは、文具事務機の事典によると、
1.墨汁でも簡単に使用できる。
2.どんな筆記用液体にも腐触しない。
3.鉛筆同様の書き味で使用に技術がいらない。
4.インキを含む量が非常に多い。
5.先端の破損を防ぐ注意をすれば寿命は長い。
の特長を挙げています。製品が廉価なこともあって、昭和30年代、官公庁や会社において書類筆記用、簿記用として広く一般に用いられました。
佐瀬勇さんは、ガラスペン製作を東京でただ1人行う職人でした。昭和11年8月6日、千葉県印西市の生まれ。昭和30年、竜泉の佐瀬米蔵に弟子入りし、ガラスペン製作の技術を学びました。この佐瀬米蔵という人物は、明治35年ガラス工芸を手掛けてガラスペンの特許を取った佐々木定次郎のもとで修業しました。つまり、佐瀬勇さんは、ガラスペン創始者の孫弟子に当たるわけです。
作り方は、8本の細い溝があるガラスに力を加え、引っ張るというものですが、均等な文様を付けるため、左右の手を同時に同じ早さ、同じ力具合で回し続ける技術は一朝一夕に出来るものではありません。佐瀬さんは、箸を持ってくりかえし練習したとのことです。そうして完成したガラスペン、特に、平成元年頃、佐瀬さんが開発したひねりガラスペンは、軸とペン先が一体となった形をしており、見た目にも美しく、美術品としての趣さえあります。
見た目にも美しいひねりガラスペン
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