たばこ入れ作り
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更新日:2024年5月28日
藤井寿作
平成13年指定(同16年保持者死亡により解除)
たばこは17世紀初め、鉄砲やキリスト教伝来とほぼ同時期に日本に伝えられたものの一つです。刻みたばこなので、たばこの葉がこぼれ落ちないよう密封性がある叺(かます)と呼ぶ箱型の容器が作られ、たばこ入れとして腰に提げたり差したり、あるいは懐に入れて使われました。
江戸時代中期以降になると、そのデザインにお金と工夫を凝らすようになり、おしゃれができる装飾品として人々に愛されました。
たばこ入れの各部分を見ると、根付、紐あるいは鎖、緒締、筒、叺と呼ばれる袋、金具があり、それぞれを作る職人の分業によって出来るものですが、最終的に各部品は叺を作る袋物職人のところに集まり仕上げられます。
叺作りの特徴は、ほかの袋物と違い木型を使って整形することです。木型はサクラ材など堅い木材を用いて袋物職人が自分で作ります。生地(布より皮が多い)を裁断し袋状にし、糊で張り合わせ、糊が乾かないうちに木型を入れて外からたたいて整形します。
藤井寿作さんは、大正2年東京の亀沢町(現・墨田区)で生まれ、小学校卒業と同時に家業である袋物加工の道に入り、父・藤井萬次郎(明治11年生)から江戸古来の技工の粋を伝授されました。
たばこ入れは明治の文明開化のもと、庶民の嗜好が刻みたばこから紙巻たばこに移り、服飾も洋装に変わっていくなかで需要が激減しました。
現在たばこ入れは、歌舞伎の小道具やコレクターの対象となり、実用の側面は少なくなりましたが、藤井さんは愛好者の求めに応じてつくることのできる数少ない職人でした。
たばこ入れ
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