襖引手作り
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更新日:2024年5月28日
堀口 宏
平成20年指定(同30年保持者死亡により解除)
ヒキテという単語や、引手という文字は古くからみえますが、中世の引手は、襖や戸の縁に、革または紐をつけたものがほとんどでした。現在のような襖引手が一般に普及したのは江戸時代になってからです。基本的な形は、丸(円形)、角(方形)、玉子(楕円形)ですが、その他に自然物・人工物を図案化した、多様なデザインのものが作られてきました。現在は、大量生産される規格品を用いることが一般的です。
宏さんの父は、和室金具の職人である塩原豊吉氏(荒川区東日暮里)のもとで修業した後、昭和4、5年頃に独立して、引手製作を主な仕事としました。戦時中、空襲で被害を受けたため、神田末広町から現在の台東区下谷二丁目に転居しました。終戦後、根岸に転居しました。
宏さんは昭和15年1月6日生。昭和30年に台東区立根岸中学校を卒業後、家業に従事して、昭和44年に父の後を継ぎました。宏さんは伝統的な技法によって、銅・真鍮(黄銅)・赤銅・銀などを用いて、多様なデザインの引手を製作しました。襖・障子の引手だけでなく、取手、釘隠し、蝶番など、和室金具一般を手がけており、製品は寺社・旅館・料亭・茶室・住居などで使用されています。奈良県吉野の金峯山寺蔵王堂の襖引手、岐阜県飛騨市古川町の祭屋台につける見送り絵(福井爽人筆)の金具、大徳寺聚光院伊東別院の襖絵(千住博筆)の引手などを製作した実績があります。
なおほとんどの取引は、東京松屋(台東区東上野)など和室金具を扱う商店と行いましたが、書籍やテレビなどで堀口製作所が紹介されてからは個人からの注文も来るようになったとのことでした。
様々な引手
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