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銅鐘(唯念寺)

ページID:360875972

更新日:2024年2月20日

唯念寺
平成22年登載

 本銅鐘は、延宝8年(1680)に鋳造した旧鐘が、明和9年(1772)2月29日の火災(目黒行人坂火事)で毀損したため、寛政10年(1798)に再鋳されたもので、戦前までは当寺で使用されていました。しかし、戦後の混乱期である昭和28年に他寺に移され、近年まで使用されていましたが、平成20年、唯念寺に返還されました。現在では新たに鐘楼が建立され本鐘が懸けられています。
 本銅鐘を鋳造した太田駿河守おおたするがのかみ藤原正義ふじわらのまさよしは、神田鍋町(千代田区神田鍛冶町3丁目)に居住した鋳物師いもじです。太田駿河守を称する鋳物師には正義、正儀、政義などがいますが、何れも音が通じていること、宝永5年(1708)から天保5年(1834)まで28件の作例が知られることから、数代にわたって活躍したものと推定されます。作例を見ると、将軍家霊廟前に奉納された銅燈籠を始めとして、多くの銅鐘や銅像を手がけていることから、江戸時代中期を代表する鋳物師の一人であったことが知られ、なかでも初期には「江戸六地蔵」を鋳造したことでも有名です。
 本銅鐘は、当寺の歴史を知る上で貴重であるとともに、近世中期の鋳物師の活動や鋳造技術を知る上でも重要な遺品のひとつです。


銅鐘(唯念寺)

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