切嵌
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更新日:2024年4月3日
西山眞直
平成6年指定(同13年保持者死亡により解除)
切嵌とは、板金に透し彫りをほどこし、透いた部分に別の色の金属板(色金)を嵌め込む金工芸術のひとつで、江戸時代に刀剣の鐔の装飾から始まり、明治時代には一輪挿し・シガレットケース・バックルなどの生活用品が主流となって、海外へも輸出されました。
西山眞直さんは、大正6年8月11日長野県飯田市の生まれ。15歳で上京、根津在住の鍛金家手塚富士雄に弟子入りし、鍛金・彫金の技術、基本的な切嵌の技法を修得しました。とくに、西山さんは切嵌に興味をもち、昭和16年春の現代日本美術工芸展では切嵌の富士図額を出品するなど工夫を重ね、従来以上の精緻な技法へと高められました。終戦後しばらくは、休業を余儀なくされましたが、昭和23年現住所に居を定めるとともに本格的に再開して実用品の製作で生計を立てる一方、富士や竹を題材とした硯屏を展覧会に出品するなど、創作活動にも研鑽を重ねていました。西山さんの作品には華やかさよりも、淡彩の水墨画を見るような重厚な落ち着いた趣きがあります。
西山さんの切嵌には、二つの特徴があります。色の違う金属板を嵌め込んだ際、まったく隙間が生じていないこと。バックルや花瓶等、曲面をなすものの場合、嵌め込んだ数枚の金属板が一枚のものと見紛うほど自然な曲面となっていることです。
これほど、高度な切嵌の技法を体得する人物は数少なく、西山さんは第一人者として高い評価を受けていました。
西山さん製作の一輪挿し
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