銅造観音菩薩坐像(榧寺)
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更新日:2024年2月19日
榧寺
平成23年登載
本観音菩薩坐像は銅製、鋳造で、総高が208.4センチメートル、像高は100.2センチメートルあります。
本像は銘文によると、宝暦年中(1751~1764)に室生寺の僧、快心が発願し、江戸の鋳物師粉川市正が制作して榧寺の本堂前に安置したものです。また文政10年(1827)には本像と石壇の修理が行なわれました。修理にあたっては、丸山佐助が多くの勧募を募り、やはり江戸の鋳物師、多川民部が修理を行ないました。
粉川市正は江戸神田を拠点に、18~19世紀にかけて活躍した鋳物師です。作例は多く、元禄12年(1699)銘鐘(大長寺[神奈川県開成町])から明治4年(1871)銘銅灯篭(増上寺[港区])まで、全国的に100例以上が知られます。代々粉川市正を名乗り宗信、宗次、国信、甫信など5から7代ほど続いたと考えられ、本像を制作したのは、他の作例から粉川市正藤原宗信と推定されます。一方、多川民部は正徳年間(1711~1716)以降、作例が確認できる鋳物師で、神田鍛冶町3丁目に住しました。遺例は僅かであることから、本像は多川民部の活動を知る貴重な資料です。
本像は、台座に刻まれている銘文から、奉納者、制作者、制作年代などを知ることができます。本像は江戸を代表する鋳物師の作風を伝えるものとして貴重な遺品であり、江戸時代の鋳物師を考える上で基準となる作例のひとつです。
銅造観音菩薩坐像
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