隅田公園サクラ再生事業について
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更新日:2023年11月22日
隅田公園サクラ再生事業とは
隅田公園は江戸時代から知られる桜の名所で、毎年多くの花見客で賑わいます。園内のサクラは、昭和55年(1980年)にまとめて植えられた後、成長が旺盛な時期(樹齢30~40年)を過ぎ、中には樹勢の衰えが著しいものも見られるようになりました。近年は、夏の猛暑や乾燥などの気象の変化が以前にも増して、サクラに深刻な影響を及ぼしています。また、サクラの近くに植えられたクスノキなどの樹勢の旺盛な樹木の陰になり、生育を脅かす要因が増し、これらへの対応が喫緊の課題となっています。
区では、隅田公園が桜の名所であり続けるために、今後サクラをどのように健全に育てていくかを検討し、1年を通して、サクラに関する様々な取り組みを行っています。
隅田公園のサクラの本数(令和5年4月1日時点)
約450本(約20種類)
※ソメイヨシノのみは約300本
※台東区立隅田公園のみの本数
年間の作業スケジュール
コスカシバ防除(5月頃)
防除剤設置状況
コスカシバはサクラのほか、モモなどの果樹類に寄生し、幼虫が幹や枝を食害してしまう害虫です。食害の影響でサクラの樹勢が弱くなる可能性があるため、成虫の交信(交尾)を阻害する防除剤(短い針金のようなもの)を設置し、サクラへの産卵を防ぎます。毎年、被害状況を確認しながら対象木を選定して、継続的に実施しています。
クビアカツヤカミキリ調査(9月頃)
クビアカツヤカミキリ調査図
クビアカツヤカミキリは、サクラやモモなどのバラ科の樹木に寄生し、幼虫が幹や枝を食害して枯らしてしまう外来生物です。クビアカツヤカミキリの被害が東京都でも拡大しているため、隅田公園でも生息状況の調査を行っています。職員のみの調査に加え、園内の一部のゾーンでは、花の名所ボランティアの活動で調査を実施しています。
施肥(12月頃)
サクラの根元に肥料を打込む様子
園内全体で、桜の根元に肥料を撒いています。園内の一部のゾーンでは、花の名所ボランティアの活動で打込み型の肥料をつける作業を実施しています。
整姿剪定(1月~2月頃)
隅田公園のサクラは、平成29年度から令和2年度にかけて若返り剪定を実施しました。整姿剪定は、若返り剪定をしてから4年後を目安に、成長した後継枝を選別しながら剪定し、それぞれの枝葉に日が当たることで伸長を促し、安定性のある樹形と樹勢維持を目指す目的で実施する剪定手法です。
若返り剪定とは?
若返り剪定をしたところ
着花量が少なく樹勢の衰えた枝を強めに剪定し、新しい健全な枝を後継枝として成長させる目的で実施する剪定手法です。若返り剪定は強剪定となるため、切り口から腐朽が進行するリスクがあり、土壌改良や施肥などの樹勢回復作業を併せて実施することが必要です。
染物実習(2月頃)
サクラの染物
剪定作業で生じた枝を使用し、花の名所ボランティアの活動で染物実習を行っています。サクラの枝を使うと、きれいなピンク色に染まります。右の写真は、実習で染めたコースターとペンケースです。
土壌灌注作業(2月頃)
土壌灌注(どじょうかんちゅう)とは、サクラの樹勢回復のために、固くなった土壌に土壌改良材と肥料を注入し、柔らかく栄養豊富な土壌環境に改善する作業のことです。サクラが育つ土壌に栄養を与えることで、より多くの花を元気良く咲かせることにもつながります。園内を5つのゾーンに分けて、毎年度1ゾーンずつ作業を実施しています。
土壌膨軟化工
(1)土壌改良材を注入して固まった土壌を柔らかくする。(土壌膨軟化工)
まずは固まった土をやわらかくする必要があります。地中に肥料と土壌改良材を注入することで、土が団粒化することに加え、土壌の通水性・通気性・保水性・膨軟性などが増加します。
エアレーション
(2)柔らかくなった土壌に空気を送って隙間をつくる。(エアレーション)
ドリルで地中に縦穴(直径3センチ、深さ60センチ程度)を掘り、その中に圧縮した空気を送って爆気させることで、土中にクラック(ひび割れ)を生じさせて隙間をつくります。
加圧式土壌改良材注入工
(3)縦穴に液状の土壌改良材を注入する。(加圧式土壌改良材注入工)
(2)のドリルで掘った縦穴に、液状の土壌改良材を充填します。空気を送り込んでできた隙間にも土壌改良材が行きわたることで、サクラの根の周囲の土壌環境が全体的に改善されます。
桜植栽地の環境改善工事(1月~3月頃)
サクラの生育環境改善を目的として、植込地の拡張やサクラの生育に影響を及ぼしている過密な樹木の整理などを実施しています。また、回復の見込みがないサクラの植替えや、空いている植込地への新しいサクラの植栽などにも取り組んでいます。平成29年度から令和4年度にかけて毎年度工事を実施してきましたが、令和5年度以降はサクラの生育状況を観察しつつ、必要に応じて工事を実施していきます。
サクラの植込地を拡張
拡張したサクラの植込地
東武鉄橋から吾妻橋の間で、川沿いのサクラの植込地を拡張しました。大きなサクラに対して植込地が狭い状態でしたが、これでサクラが根を広く張れるようになります。また、植込地のまわりにロープ柵を設置し、オタフクナンテンを植栽することで、サクラの根元を踏まれないよう保護しています。
密集した樹木を整理、新しくサクラを植栽
密集樹木を整理した植込地
台東リバーサイドスポーツセンター野球場前の植込地で、密集した樹木の整理を行いました。大きなケヤキなどは残しつつ、主に未生で育っていたネズミモチなどを伐採したことで、見通しも良くなり、以前よりも明るい場所になりました。枝が混み合って窮屈な状態を解消したことで、既存のサクラは枝を伸ばしやすくなります。また、植込地の広く空いたスペースには、新しくサクラ(ソメイヨシノ)を植栽しました。まだ若木ですが、見ごたえのある立派な桜並木を楽しめる時が待ち遠しいです。
ベニシダレのやぐら型支柱を設置
ベニシダレのやぐら型支柱
少年野球場脇の築山で、ベニシダレの支柱を取り替えました。このベニシダレは、国天然記念物に指定されている福島県三春町の銘木「三春滝桜」の子孫木であり、平成25年1月に隅田公園に植えられたものです。植樹した頃と比べてとても大きく成長したため、全体を支えられるよう、新しく大型のやぐら型支柱を設置しました。
花芽調査(3月頃)
花芽を数える様子
前年に伸びた枝に着く蕾からいくつ花が咲くか調べ、その数でサクラの元気度を診断しています。花の名所ボランティアの活動で作業を行っています。
隅田公園サクラ再生事業パンフレット「百年先も桜の名所に」
隅田公園サクラ再生事業の内容をまとめたパンフレットを配布しています。
隅田公園のサクラの歴史や樹勢診断の結果、百年先も桜の名所であり続けるための取り組みの説明などを掲載しています。
配布場所
公園課(台東区役所5階4番窓口)、公園管理事務所(台東区立隅田公園内)
隅田公園サクラ再生事業パンフレット(表面)
隅田公園サクラ再生事業パンフレット(裏面)
パンフレットのダウンロードはこちらから
隅田公園サクラ再生事業パンフレット(表面)(PDF:1,384KB)
隅田公園サクラ再生事業パンフレット(裏面)(PDF:1,250KB)
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お問い合わせ
公園課 公園計画担当
電話:03-5246-1324
ファクス:03-5246-1319