紙本著色元三大師縁起絵巻
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更新日:2024年2月20日
寛永寺
平成20年登載、同22年指定
紙本著色元三大師縁起絵巻の3巻(巻一、巻二、巻五)は、叡山中興の祖とされる18代天台座主良源(慈恵大師、912~985)の一代記を数々の霊験譚を交えながら描いた高僧伝絵です。良源は正月3日に寂したことから「元三大師」とも尊称され、弟子には『往生要集』を記した源信(恵心僧都、942~1017)、覚超(960~1034)、尋禅(第19代天台座主、943~990)など、多くの僧侶がいます。また多くの霊験譚を残していることでも知られ、厄除けの「角大師」や「豆(魔滅)大師」、さらには御籤の創始者として、今でも厚い信仰があります。
本絵巻は延宝8年(1680)に住吉具慶(1631~1705)が紙本著色慈眼大師縁起絵巻とともに「両大師縁起」として描いたもので、本来6巻あったと考えられますが、慶応4年(1868)5月15日の「上野戦争」の混乱によって一部が寛永寺から流出し、大正大震災で焼失したと考えられます。
本縁起絵巻は、良源の主要な伝記資料のひとつです。また、住吉具慶の代表作のひとつで、先行する作品が少ないことから、具慶独自の作品と考えられます。同時に、制作年代や制作の背景が明らかな作品として貴重であり、具慶の基準作例として重要です。
良源が疾病神をはじき出す(巻五)
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