隷書李白五言律詩「戯贈鄭陽」軸
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作品解説 | 中村不折70歳の書である。題材は唐時代の詩人・李白(701~762)の「戯れに鄭溧陽に贈る」という詩。溧陽(江蘇省)出身の友人・鄭晏(ていあん)という人物の人柄を、東晋時代の詩人・陶淵明(とうえんめい)に重ね合わせ、いつか彼のもとを訪ねることを望む、という内容である。 不折の書といえば、この作品に見られるような隷書、楷書混合のものが多い。不折の書は「広武将軍碑(こうぶしょうぐんひ)」(五胡十六国(前秦)・建元4年/368)や、「中嶽嵩高霊廟碑(ちゅうがくすうこうれいびょうひ)」(北魏・太安2年/456)など、主に隷書から楷書へと発展する過程の作品が基礎となっており、さらに線を揺らした変化の豊かさが特徴として挙げられる。この作品では字形、行の流れなど自由であるが、全体のバランスに優れた、不折書を代表する傑作である。 |
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