小克鼎
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西周(前1120(前1020?)頃~前771)
作品解説 | 青銅器(せいどうき)は、古代中国で頻繁に行われた、神々をまつる祭祀(さいし)に用いられた神聖な器であり、殷~漢時代頃まで盛んに作られた。ここに見られる文字を金文(きんぶん)と呼ぶ。特に周時代の金文は、現存最古の文字・甲骨文(こうこつぶん)の後を受ける文字の姿として重要視されている。 これは善夫(ぜんふ)(王の近侍職)であった克という人物が、王の命令を受けて八つの軍隊を査察する任務を果たし、それを記念して制作した青銅器である。 鼎は、食物を煮炊きして祭壇に供える器であり、祭祀では最も重要な器とされた。器の縁に付けられた垂直な二つの取っ手と、器を支える三本の足を持つ姿を基本とし、この器から“三者鼎談(さんしゃていだん)”、“鼎の軽重(けいちょう)を問う”などの言葉が生まれている。 この鼎は、清・光緒16年(1890)、陝西省より出土したと伝えられており、当館所蔵分を含めて現在7器の「小克鼎」が確認されている。 全体的に余白に余裕があるためか、一字の中に多用されている曲線が目立ち、動きのある印象を受ける。また、青銅器の銘文制作のための罫線が残された貴重な例としても知られる。 |
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