甲骨文
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作品解説 | 甲骨文は、現段階で最古の漢字の姿を示す重要な資料である。殷時代後期の都である殷墟(いんきょ)(河南省安陽市)から出土したもので、亀の腹甲や牛の肩胛骨などに刻まれている。 文章の内容は主に占いの記録。様々な神を祭ることで災難を避け、福を願った殷時代の社会において、甲骨による占いは神の意思を尋ねる重要な手段であった。甲骨の表面に占う内容(作物の豊凶、征伐の勝敗、天候など)を刻んだ後、裏面から熱を加え、表面にできたヒビ割れの形から吉凶を判断した。 殷時代後期約260年の間に作られた甲骨文は、現在までの研究によって、文字、文章の内容、占いを行った人名などをもとに、第1期から第5期に分けられている。ここに挙げたのは、最も優れた書風として評価の高い第1期の牛肩胛骨。肩胛骨のおよそ3分の2をとどめる最大級の骨であり、“中村大骨(なかむらだいこつ)”とも呼ばれる名品である。内容は、王妃の出産、奴隷の到着などを占ったもの。 |
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