紙本著色文恭院殿葬送絵巻
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更新日:2024年2月21日
春性院
平成29年登載
本絵巻は、江戸幕府の十一代将軍徳川家斉(文恭院殿)の葬送の様子を描いたもので、大きさは、縦26.5センチメートル、全長1,509.6センチメートルです。
家斉は天保12年(1841)閏正月晦日に没し(実際は閏正月7日没)、同年2月20日、寛永寺の厳有院殿霊廟の脇に埋葬されました。薨去から埋葬に至るまでの経過や営まれた法要の様子は『徳川実記』、『天保雑記』等の記録に詳しく記述されています。本絵巻には、家斉の棺が東叡山寛永寺から廟所へ向かう葬送行列、埋葬地となった厳有院殿廟前に仮設された仮堂(龕前堂)とそこで執行された法要の様子、棺を納める石槨とその上に置かれた石造宝塔の構造等が描かれます。
本絵巻の成立は家斉の葬儀以降、それほど時を経ていない時期と推定され、同様の絵巻が日光山輪王寺(栃木県日光市)や国立国会図書館にも所蔵されています。本絵巻は、注記表現や人物の表情、着物の彩色等の点から、前記のいずれかを手本に模写されたものと考えられます。
葬送の様子を物語る史料は他にもありますが、それぞれに記述の及ばない箇所もあり、本絵巻の注記でその欠を補うことができます。とくに本絵巻では人物注記が細かくなされ、さらに、行列に並ぶ人々の服装や持ち物等も丁寧に描かれており、当時の最高権力者である江戸幕府の将軍の葬送の様子を視覚的に伝える貴重な資料です。
紙本著色文恭院殿葬送絵巻
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