書道博物館に明治時代の蔵が復原されました!
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更新日:2013年11月25日
中村不折が建てた明治時代の蔵が、書道博物館庭園に復原されました。
中村不折が建てた明治時代の蔵
明治32年(1899)12月、34歳の中村不折は、下谷区中根岸町31番地(現・台東区根岸三丁目12番地)に居を構えると、敷地内に大谷石の蔵を建てました。そこには、画家であり書家でもある自身の作品をはじめ、その後の書道研究に大いに寄与することとなる日本や中国の文物や、フランス留学時代に収集した絵画に関する資料なども収蔵し、大正4年(1915)に、不折が現在の場所に転居するまでの間、この蔵は、これら貴重な所蔵品を大切に守り続けました。
不折は、転居後も本館前の蔵(大正)や本館(昭和)を建立し、さらに平成には、台東区がその意思を受け継ぎ、中村不折記念館を建設しました。この蔵の移設・復原により、当地に明治から平成に至る時代の施設が共存することになりました。
復元した蔵(明治時代)
本館前の蔵(大正時代)
新館
本館
発見の経緯
不折の建てた明治時代の蔵は、これまで長らく所在が不明でした。
平成23年、道路拡張工事のため、根岸三丁目にある花岡宅を取り壊すこととなり、消えゆく街並みの記録を残そうと、根岸地区の歴史を研究している根岸子規会の奥村会長が付近を撮影していたところ、偶然に発見されました。
当地に住んでいた花岡氏によると、花岡宅は、蔵が居宅に組み込まれた形で建てられており、蔵が収納スペースとして活用されていましたが、「ここは有名な画家が住んでいた場所で、蔵は当時のもの」と伝えられてきたそうです。
不折が建てた蔵の写真が現存していたため、照合の結果、不折の蔵の間違いないことが確認されました。
蔵発見時の様子 その1
蔵発見時の様子 その2
復原・移築
明治時代の大谷石造りの蔵は、数が少なく貴重なものであり、とりわけ、この蔵は、画や書への不折の情熱と生涯にわたる活動や研究の象徴であり、書道博物館の原点となる記念建造物です。
書道博物館の庭園の一角に当時の姿が復原され、各時代の建造物が、庭園を囲むような形で配置されています。
6月28日からの企画展『中村不折コレクション・江戸ワールド』の開催に合わせ、貴重な蔵の一般公開を開始します。ぜひご覧ください。
コレクションを手に持ち、お蔵の前に立つ中村不折
お蔵の入口に座り、大切な資料を眺める中村不折
書道博物館配置図
お問い合わせ
台東区立 書道博物館
電話:03-3872-2645