石造多宝塔
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更新日:2024年2月19日
浅草寺
平成23年登載
多宝塔は宝塔の一種で、平面が下重方形、上重円形(屋根は方形)の二重塔をいいます。宝塔に方形の裳階を付けたものとされています。石造多宝塔は類例が少なく、中世の造立にかかるものは弘長2年(1262)銘塔(常楽寺[長野県上田市])を初見として約20例が知られます。とくに関東地方では北関東、なかでも群馬県に事例が多く見られます。
本塔は、銘文から応永32年(1425)に造立されたもので、形態は応永11年銘の増信寺塔(群馬県藤岡市)とよく似ています。このことから、本塔は当初、北関東地域で造立されたものが後世に石灯篭として改造され、区内にもたらされたと考えられます。区内に移された時期は不明ですが、江戸時代後期より昭和初年までは、肥前平戸藩上屋敷の「蓬莱園」に石灯篭として据えられていたと思われます。昭和12年に蓬莱園が廃園になると、本塔も園内より他所へ移設されたようです。さらに、昭和30から40年代に、現在の伝法院庭園内に据えられたようです。
本塔は、事例の少ない中世の石造多宝塔で、造立当初の形態をほぼ良好に維持しています。さらに紀年銘が残されていることから、石造多宝塔の基準作例として重要です。また本塔は、江戸時代から昭和初期にかけて平戸藩松浦家上屋敷「蓬莱園」の景石として据えられていたと考えられ、現在は失われてしまった名園の遺品としても貴重です。
石造多宝塔
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