紙本墨画淡彩達磨図
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更新日:2024年2月20日
誓教寺
平成11年登載
本図は、江戸時代後期を代表する浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)の墓所がある誓教寺に所蔵されています。達磨の全身を横から描いたもので、大きさは縦107.8センチメートル、横38.8センチメートル。着衣のひだには、粗い描き方の没骨描(輪郭の線を描かないで、直接水墨や彩色でくまどりを主にして対象を描く方法)を、顔や足は淡い墨線で輪郭をとり、肌の色は淡い色彩を用いています。背景は、全面に淡い墨によって地塗りがなされています。背景にところどころ、薄く浮き上がったように見える、縦に連続する短い横縞の文様は、畳の上に紙を直接置いて描いたために出来た跡です。
本図は、銘文やその画風により北斎の肉筆画と知られます。おそらく書画会の席上で描かれた即興的な絵画でしょうが、その手慣れた流れるような筆づかいに、なみなみならぬ画家の技量をうかがわせる作品です。
右下に墨書で「画狂人北斎画」と記されます。北斎が「画狂人北斎」と名乗った年代は、享和元年(1801)正月~文化3年(1806)6月(北斎42歳~47歳)なので、ほぼこの時期に描かれたと考えられます。
北斎もこの時代の文化人の例にもれず、享和・文化・文政年間(1801~1830)に書画会への参加が認められます。特に、友人であり仕事も一緒にした戯作者、曲亭馬琴(1767~1848)の影響によって、文化人との交際が広範囲になったと推測できます。
なお、誓教寺には、『絹本著色骸骨図』1幅(平成8年区民文化財として文化財台帳に登載されました)も所蔵されています。毎年4月18日(北斎忌)には、その偉業を偲ぶ法話の会が開かれ、本図も含めた北斎の作品が展示されています(通常は非公開です)。
紙本墨画淡彩達磨図
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