両界曼荼羅版木
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更新日:2024年2月20日
加納院
平成10年登載
「両界曼荼羅」とは、真言宗の説く宇宙観を図として表現した2種類の絵図です。ひとつは金剛界曼荼羅、もうひとつを胎蔵界曼荼羅といいます。この2種類の曼荼羅は、2面一対として描かれましたが、金剛界・胎蔵界ともに図様が複雑であるため、早くから版木の制作が行われており、現存する両界曼荼羅図は版木からの摺写であるものがほとんどです。
加納院所蔵の両界曼荼羅版木は、両界ともに上・中・下の3段・3面に分け、横長の木版に各尊の姿を刻んだものです。法量は各方面によってやや違いがあるものの、おおむね1面ごとに縦26センチ、横66センチ、厚さ2センチほどです。また、胎蔵界曼荼羅版木の裏面には、制作に関わる銘文が刻まれています。それによると、この版木は行満坊賢誉という僧侶が、元和9年(1623)3月17日から寛永3年(1626)6月7日までの4年間をかけ、自身で版刻したものであることが分かります。行満坊賢誉という人物については明らかではありませんが、当時の僧侶は、写経に長じた者は写経を、絵の得意な者は仏画の制作をと、各々の技量に応じて積極的な活動を行っている人が少なくありませんので、賢誉の場合は木版絵画の制作に長け、その技術を用いて真言宗僧侶としての活動を行なった人物であると思われます。
この版木のように、制作年代が江戸時代初期にまでさかのぼる両界曼荼羅の版木は、全国的に見ても非常に稀です。加えて、作者や制作年代を知ることができる貴重な文化財です。
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